形成外科 ワキガ手術について 剪除法とは
形成外科の宇都宮裕己です。
剪除法とは前回お話した通り、皮膚を切って裏返してアポクリン腺を直にみてとる手術です。当院は開業して半年とちょっとですが、剪除法希望の患者さんも増えてきつつある印象です。こんな風に毛が生えてたり汗がでてべたべたする場所をまるで囲ってマーキングします。線は切開線でワキのしわに沿ってデザインします。
👇の方は他院で前回お話した②の方法(高周波やマイクロ波を使う方法:ミラドライやビューホットなど)をして多少改善はしたものの、効果が不十分で剪除法を希望された方です。こういう方は瘢痕で皮膚が伸びにくくアポクリン腺もわかりにくくなっているので少し切開線は長くなります。あとほかに範囲が広い人も切開線は長くなります。
デザイン通りに切った後は、下の写真のようにアポクリン腺の下の層で剥離し、裏返してアポクリン腺をふくむ真皮の下の層をしっかりと一塊にして取っていきます。
術中写真はこちら#1 (血が見える写真なので苦手な人はクリックしないでください)
黄色くぶつぶつして見えるのが皮膚の裏側の皮脂腺です。左側にびよんと引っ張られているのがアポクリン腺とその他皮下組織です。
とれたものがこちらです。黄色いのは脂肪でピンクっぽいのがアポクリン腺です。 (血が見える写真なので苦手な人はクリックしないでください)
量や範囲が広い人ではこのくらい取れます こちら (血が見える写真なので苦手な人はクリックしないでください)。黄色いのは脂肪でピンクから茶っぽいのがアポクリン腺です。
ここでしっかりとらないと改善しにくいのですが、取りすぎて皮膚が薄くなるとキズの治りがおそくなり、傷跡も汚くなる傾向にあります。逆に言うと適当にやって少しだけとると傷はきれいですが、改善効果は低いです。さっきの#1の写真のように黄色いぶつぶつの皮脂腺や真皮下血管網はなるべく残してあとはしっかりとるのが、傷跡と効果のバランスが一番良いと思います。
最後に皮膚を縫合して血抜きの管を入れて終了です。
手術直後はこちら (血が見える写真なので苦手な人はクリックしないでください)
術後はこの後にガーゼを縫い付けて、包帯でぐるぐる巻きにします。
こんな感じです(実際は服の下に包帯があります)。
血抜きの管は翌日、包帯とガーゼは5-7日目にとります。傷の抜糸は1-2週間後です。
そして手術をやった方の腕は2週間は90度以上挙げれません。
傷跡は一か月目でこんな感じです👇。まだ赤みや色素沈着がありますが徐々に目立たなくなっていきます(それぞれ別の人です)
二か月だとこんな感じです(別の人です)
真ん中が傷跡です。
傷跡は半年1年かけてさらに目立たなくなっていきます。ただし全く無くなるということはないです。
効果はほとんどの人がはじめの臭いが10とすると1-2くらいまで軽減します。
最後に起こりうる合併症ですが
みんなが起こるのが皮下出血、腫れ、傷跡 など
ときどき起こるのが創部の治癒遷延(創部がジュクジュクして治るのが少し時間がかかる)、色素沈着、術後の粉瘤 など
ほとんど起こらないけれどもまれに起こるのが、創部シカイ(傷が開く)、血種、感染、ケロイド、など
です。
費用は保険適用で3割負担で5万円前後くらいです。
気になる方はご相談ください。