形成外科 ワキガ治療について
形成外科の宇都宮裕己です。
あなたはワキの臭いが気になりますか。ワキのにおいが強い病気を、ワキガ、医療用語で腋臭症(えきしゅうしょう)といいます。ワキのにおいをチェックする方法として有名なのがガーゼテストというものがあります。
ガーゼテスト
ワキの下にガーゼをはさみ5分後にそのガーゼを臭ってもらいます
グレード0 全然臭わない
グレード1 よーく嗅げば臭う
グレード2 鼻に近づけると臭う
グレード3 鼻に近づけなくても臭う
グレード4 ガーゼを手に持っただけで臭う
この中でグレード2以上が治療対象の腋臭症と判断しています。
実のところは欧米や中東の人々の方が臭う人が多く、臭いも強烈ですが本人も周りも気にしないので、治療を希望される方の割合は日本人の方が多いです。日本人(や韓国人、中国人など)が気にするのはそもそも体臭がほとんどない人が多いため目立ってしまうというのもあるでしょう。
臭いの原因はアポクリン腺という汗を作り出す汗腺の一種がワキに多いことにあります。汗腺は他にエクリン腺という汗腺もありますが、こちらは基本的には臭いません。アポクリン腺は他にも耳の中や胸、陰部などにあります。耳の中にもあるため、ワキガの人は耳アカが湿っていることが多いです。またワキガは顕性遺伝(優性遺伝)なので、片方の親がワキガの場合、子は50%の確率でワキガになります。
ではどのように治療するのかというところですが、アポクリン腺は汗腺の一種ですので汗を抑えるようにすれば、臭いも抑えられます。つまり汗が多い疾患である多汗症と治療は被ってきます。
多汗症に関して詳しくはこちらのスタッフブログをご覧ください。
まずこれらの治療から始めるとよいと思います(特にグレード1、2の方)。
グレード3、4の方やもっとしっかり臭いを抑えたい人は剪除法という方法があります。こちらは健康保険が適用され両脇で4~5万円くらいです(使用薬剤や麻酔方法などによって異なります)。
剪除法は皮弁法ともよばれその効果は皮膚切除法の次に強いです。皮膚切除法とはワキの毛が生えている部分を切除して縫い寄せるという方法で、臭っている部分を皮膚ごととってしまうわけですから当然最も効果は高いです。ただしその部分が突っ張ったり、傷跡が長かったりデメリットが多いので現在ではほとんど行われていません。対して剪除法は皮膚を切開はしますが、皮膚を切り取ることはせず、皮膚を裏返してアポクリン腺を目で見て取る手術です。
その他の方法を大きくわけると、
①皮膚を小切開してシェーバーや超音波を使った器具を挿入してアポクリン腺を取り除く方法:クアドラカットやキューサー法など
②マイクロ波や高周波を使用する方法:ミラドライやビューホットなど
があります。
効果としては大体のイメージでいうと
皮膚切除法 > 剪除法 ≧ ① > ② > ボツリヌストキシンやその他非手術療法
という感じですが、保険が効くのは皮膚切除や剪除法です。
では次のブログで実際の写真を交えて剪除法について説明します。